銀座飛雁閣お取り寄せカタログ2025/26

Dr. Bao Kun Liu つまり、人( 生命) と自然界は、常に繋がっている関係に あるという考え方、捉え方をしていきます。 Q:西洋医学では、伝統的に生理と心理は個別のものと 考えているようですが……。 L:基本的な傾向として、また一般論の話としての説明 からしていきましょう。中医学では「人体のはたらき」 に注目し、西洋医学では「器質的病変」を重視します。 近年「サイコソマティック(心身相関)」という概念が 注目されていますが、未だに「精神的か身体的かどちら が主なのか」という未解決課題が残っているようですね。 Q:中医学ではすでにその結論が出ているのですか⁉ L:その答えの前にもう少し中国 伝統医学の話を続けましょうか。 中医学では生命と自然環境の密接 な関わりを注視しています。社会 環境・心理要因・情緒変化などは、 すべて健康(状態)と繋がっている ものとして考えていきます。治療 では、さらに局所を全体と結びつ けて理解していきます。 因人(人により)、因地(場所により)、 因時(時により)などの要素を考えて、 治療方法を組み立て、総合的に分析 をしていきます。これが中医学理論 の核心となります。 生命の根本とエネルギー、「四診」の進化 Q:劉教授は、現代の病気は多くがストレスによって引 き起こされると言われてきましたが、中医学では、どの ようにして診断、治病などを行っていくのですか。 L:まず、疾病の発病素因(病因)を3つに大別し区分 をしています。「外因・内因・不内外因」といいます。 外因とは「風・寒・暑・湿・燥・火」の六要因が人体の 生理や心理に影響を与え発症するという考え方です。 内因とは「喜・怒・憂・思・悲・恐・驚」の七情が主と して「氣」に影響を与えることでの情緒変化により臓腑 失調が起こり発症するという考え方です。 不内外因とは「火傷、虫や獣による傷、食中毒、薬物中 毒」など、また色欲過多や精気損傷、刀傷や打撲による 損傷などの影響で発症するという考え方です。 このような伝統的な中医学の考え方に加えて、現在では 様々な化学的研究成果や最新の物理学理論なども取り入 れて、現代の中医学は著しく進化を遂げています。 Q:疾病発症の起因となるのは「心理なのか生理なのか」 の疑問に対して、お話しくださいますか。 L:心理です。心理が先で生理が後です。心理は常に深く 自然( 宇宙の秩序、自然の摂理や生命の調和など) を意識 しているのです。 Q:心理が乱れることで生理も乱れ、遂に病へと至る。 L:中医学では「氣・血・津液」は生命のエネルギー源 として生命活動の維持に不可欠な物質です。臓腑の機能 により生まれ、経脈を通じて全身の各組織・器官を栄養 し生命活動を調節しています。氣・血・津液と臓腑・経絡 とは相互に依存し影響し合う密接な相関関係にあります。 心理はこの氣・血・津液の流れに 大きく影響しています。氣は生命 の動力、血( 液) は生命の物質です。 心理が乱れると氣や血の流れが滞 り、疾病の起因となっていきます。 次に、生命の根本である「精・氣・ 神」のことも説明しておきましょう。 一言ずつで説明をすると「精とは 生命を維持する物質」で、生命の 根源的なエネルギーとして丹田に 蓄えられていきます。「氣は生命の 動力」です。生命活動を支えている エネルギーとして、血液の流れや 臓器のはたらきを調節しています。 「神とは生命の表現」を表し、精神活動や意識のはたらき を司っています。「精・氣・神」は相互に影響し合いな がら、生命活動を支えているのです。「精を養い、氣を巡ら せて、神を安定させる」ことで、健康維持(養生)の根本と なっているということです。 Q:次は、疾病の診断方法についても教えてください。 L:中医学の最大特徴にも挙げられる「四診」について の説明をしましょう。四診は大変に歴史がある診断法で、 古く春秋戦国時代から漢代にかけて出来上がったものと いわれ『黄帝内経』や『難経』にも記されています。 「望診」は、患者を観察して診断を行い、舌診ではかなり 正確に身体情報を得ることができます。「聞診」は、患者 の声質や臭いから診断します。「問診」は、普段に行なって いる診断法の聞き出す技術力で医師の優劣が試されます。 「切診」は脈診ともいい経験と洞察力が必要な診断法です。 私は幼少期に「御医」であった祖父から徹底的に仕込まれ、 劉家秘伝の脈診術を体得することで中医最高峰の領域に まで達することができたということです。 祖父直伝の「脈診」は宮廷御医・劉家の特殊医術 劉教授の中医学は最適な比喩を使い 聞き手の理解度に合わせて具体的な解説を行うのが最大の特長 45

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