Interview with 中国伝統医学の識見は難解ですが、理解が深まれば深ま るほど道理に適っていると感じるのはなぜでしょうか。 一方、先端科学の世界では、次々と新たな発見や発明が 起こり、時代は大きな転換期・変革期を迎えています。 後半では、40 余年に亘って「統合医学」の先駆者として 新たな医学・医療の未来を切り拓いてきた劉教授の近況 をお訊きしていきます。 統合医学が向かう先の「生命能量医学」 Q:昨年は、劉教授にとっても中国伝統医学にとっても とても「エポックメイキングな1年」でした。 L:とっても、忙しかった!( 笑) 「WHOアメリカ研究センター」に 赴任したころに始まったエグゼク ティブ社会での中医療への関心が、 今では全世界的な広がりとなって 世界中から中医学講演、治病への 助言、連携依頼の話がきています。 Q:劉教授の統合医学が世界的な 規模で注目を集めている……。 L:医療機器の画期的な進歩や統合 医学に対する研究者たちの理解が 深まってきたことで劇的な変化が 促進され、嘱目するような現実 が動き始めているようです。 Q:その結果、国連の経済社会理事会特別諮問機関と なった「世界無形遺産保護開発財団(WICHPDF)」の 「中国伝統医学発展委員会副委員長」に任命されました。 L:内外の大学間で中医学や中医薬に関する共同研究や 人材交流などが頻繁に起こっています。これからは製薬 やライフサイエンス業界などでの活動が活発化していく ことになるでしょう。 Q:劉教授にしか語ることができない「統合医学の現在」 の話を、ぜひお聞かせください。 L:中医学は西洋医学と比較すると非常に属人性が高い のが特徴です。私は普通の医師や研究者と異なった家系 に生まれ育ったことで、通常では学べない知識と技術を 幼少期から叩き込まれてきました。その知識や技術を土台 として自分が関心をもった医学とは異なる分野の学問や 人脈に自ら飛び込んで、新しい医学・医薬のアイディア を生み出し実践してきました。その試みと成果から創り出 したのが私の「統合医学理論」となり、いま世界から注目 を集めているということです。 Q:劉教授と出会って以来25年が経ちました。今では 定説にもなっている「臓器連環」や認知症発症の仕組み など、これまでに教えていただいた事実が最先端医学 の領域でも次々と解明され始めてきていますね。 L:マクロからミクロへ。科学技術の目まぐるしい進化 と発展で人体の仕組みとはたらきがわかってきたことで、 これからの医学・医療はもの凄く変わっていくでしょう。 しかし、私は敢えて「哲学と人文科学」の再研鑽を薦めて います。哲学と生命科学は連環し交互にループし合って います。意識( 無意識を含む) と身体は相関関係にあって、 心理は身体に強く影響を与えます。すべての科学技術が、 このことを再認識することでより 良い未来が見えてくるはずです。 Q:医学と医療の進化と発展は、 どんな経過を辿って現在へと至り、 これからはどの方向へと向かって いくとお考えでしょうか? L:臨床から始まった医学・医療 は次に免疫へと進み、康 こうふく 復( 回復) へと進展していきました。そして 現在は「最新効能医学」の時代です。 最新効能とは先制医療などの知見 に基づき最新医療機器を活用して、 現状の症状や事象を診てこれらを 改善する方向へと向かうでしょう。 Q:これまでの医療現場と比較すると格段の違いがある。 L: 私が見ている未来には「生命能量( エネルギー) 医学」 の世界があります。本来、生命がもっているキャパシティ 限界まで健康で元気に生きていくことを可能にする医学・ 医療の実践。そのためには、もっともっと違った分野の 学識にも触れていろいろな研究者たちと出会い話し合い、 お互いが研究してきた事象や成果を積極的に習い合って、 人類の健康福祉に寄与貢献する。このような医学・医療 を創造していく姿が、私の見ている未来像です。 Q:素晴らしい考えですね。勿論、劉教授のことですか らすでに実現への道筋と計画をお持ちなのでしょうね。 L:様々な事柄を勉強し独自の「理論」を立て、次には その理論に沿った「研究とテスト」を行って、その試行 より得た結果・成果から「結論」を導き出す。この繰り 返しからしか「新しい創造物」は生まれてきません。 『医道通神』という言葉が示していることは、全知全能の 神のようにすべての事象に通暁してはじめて本物の医師 や研究者になることができるという「理念」なのです。 上海新虹橋医学センターのスタッフから歓待を受ける 世界初の「統合医学」を提唱した劉教授は 医学とは別次元の学術分野からも学び独自の世界観を構築している 46
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