79 減量には、どのくらいのシナモンパウ ダーを摂ればいいの? アメリカの国民健康サービス(NHS)は、シ ナモンの摂取量について以下のようなガイドラ インを示しています。 「シナモンは1日6g(小さじ約1.25杯、または 長さ約7〜8cmのスティック1本分)までに抑 え、それを6週間以内にとどめること。そして6 週間続けた場合は、1週間ほどの休止期間 を設けること」 なかなか現実的で、取り組みやすいアドバ イスです。 あるいは「5日間連続で摂取し、2日休む」 という1週間サイクルも、より取り入れやすいか もしれません。 ただし、これはクマリンを多く含むカシアシナ モンを前提とした注意喚起です。カシアは過 剰摂取により肝機能障害のリスクがあるた め、このような制限が設けられています。 一方、セイロンシナモンにはクマリンがほとん ど含まれていないため、欧州の「1日あたり体 重1kgあたり0.1mg以下」という摂取基準を踏 まえると、カシアの2倍量を摂っても安全圏内 に収まる計算になります。 とはいえ、安全性を第一に考えるなら、どの タイプのシナモンであっても、NHSのガイドラ インを目安に摂取するのが安心です。体に良 いものでも、「ほどほど」がやはり基本ですね。 減量のためのベスト・ストラテジー 1. まずは「砂糖」を減らすこと ──これが最大の近道 体重を落とすうえで、最も効果的なのは 「砂糖の摂取をやめること」だと私たちは考え ています。 これは単に紅茶やコーヒーに入れるお砂 糖だけではありません。清涼飲料水に含まれ る糖分、加工食品に潜んでいる糖分、そして 過剰な炭水化物が体内で変化する「隠れ 糖」も含まれます。 実際、砂糖をやめるだけで全体の約55% の減量効果があるとも試算されています。 このとき、セイロンシナモンが強力な助っ人 になります。なぜなら、シナモンには砂糖への 渇望(シュガークレービング)を抑える作用が あると考えられているからです。 もし強い甘いものへの欲求がある場合、そ れは「カンジダ菌」の過剰増殖が関係してい るかもしれません。カンジダ菌は糖分をエサに 増殖し、さらなる糖分を欲する悪循環を生み ます。そしてシナモンは、このカンジダ菌を抑え るのに非常に優れた自然素材なのです。 2. バランスのよい少量食をこまめに 「少量の食事をこまめにとる」ことも、体重 管理には有効です。 ただし大切なのは、いつも同じ食べ方をし ないこと。野菜ばかり、肉ばかりなどに偏らず、 いろんな食材をバランスよく摂ることがポイント です。 炭水化物をどうしても食べたいときは、白米 だけでなく、パンやセモリナ粉(パスタなど)な どをローテーションで。 肉類も、牛・鶏・魚とバランスよく取り入れま しょう。 こうした「多様性のある小食スタイル」は、 減量効果の**約20%**を占めるとも言われて います。 なお、もっとストイックに行きたい方には、「ケ トジェニックダイエット(ケトーシス)」という選択 肢もあります。糖質を極力制限するこの方法 は、確かに強力です。 ここでもシナモンをひとふり加えることで、糖 質依存の脱却がよりスムーズに進むかもしれ ません。 3. 運動の真実 ──体重を落とすカギではない? 「運動すれば痩せる」とよく言われますが、 それは誤解です。 運動が直接的に体重を大きく落とすわけ ではありません。 むしろ、運動は筋肉を引き締め、血流を良く し、体内の毒素を排出するという面で、健康全 般に良い影響を与えると考えるべきでしょう。 実際、減量における運動の寄与度は5%未 満とも言われています。 それでも、「生涯続けられる運動」はやって 損はありません。 だからこそ、ジムに何時間も通うより、ダンス やスポーツなど、楽しめる運動を選ぶのがコツ です。筋トレも、骨密度の維持には適度に取り 入れるのが望ましいでしょう。 ただし、やりすぎは禁物。過度な運動は身 体をすり減らす原因にもなります。 4. よく眠ることも、立派な減量法 近年の研究で、「睡眠不足と肥満の関係」 が次第に明らかになってきています。 睡眠の質が悪いと、体重が増えやすくなる ──そんな傾向があるのです。 たっぷり眠って、ホルモンバランスを整え、代 謝をきちんと機能させること。それが健康的な 体重維持の基本でもあります。 シナモンのカプセルで痩せられる? ──それは幻想です 「体重を減らせる魔法のカプセル」 ──そんなものは、残念ながら存在しま せん。 とりわけ、シナモンのタブレットやカプセルを 胃に直接放出する形で摂取するのはおすす めできません。というのも、シナモン成分(特に 精油成分)は、濃縮されたまま胃に届くと、粘 膜を刺激してしまう可能性があるからです。こ れはシナモンに限らず、どんなサプリメントでも 言えることです。 粉末状のシナモンであっても、しっかりと希 釈して体に優しく取り入れることが基本です。 そしてその摂取も、あくまで**「健康的な食 事」と「適度な運動」**を軸とした生活習慣 の一部として考えるべきです。 結局のところ、体重を落とす最良の方法は、 「カプセル」ではなく、「日々の積み重ね」にあ るのです。 ハチミツでは痩せません ──それが私たちの結論です 「シナモンとハチミツを組み合わせればダイ エットになる」──そんな説を耳にしたことが あるかもしれません。ですが、私たちはその効 果には懐疑的です。 確かに、シナモン単体であれば、血糖値の コントロールや食欲抑制といった観点から、減 量への「可能性」はあります。 しかしハチミツについては、そのような実証 的な根拠を見出すことができません。 結局のところ、ハチミツはどれだけ自然由来 であろうと「糖分」であることに変わりはありま せん。 健康効果がまったくないとは言いません が、ダイエットという目的に限れば、白砂糖や 黒糖と大差ないというのが、専門家の見解で もあります。 たとえばWebMDの記事では、アメリカ栄 養士協会のスポークスパーソンであり糖尿病 専門の管理栄養士トビー・スミスソン氏が次 のように述べています: 「たとえ天然のものであっても、ハチミツは 減量や糖尿病管理において、白砂糖や黒糖 と比べて優れているとは言えません。」 PubMedには、ハチミツの摂取で体重が減 少したとするごく限られた研究も存在します が、その研究では具体的にどの程度減量で きたかは明示されておらず、副作用のリスクに も注意が必要であるとされています。 つまり、ハチミツが「シナモンの人気に便乗 しているだけ」と言っても過言ではないかもし れません。 確かめる一番の方法はシンプルです。 シナモンとハチミツを別々に摂ってみて、1 か月後に比較すること。 きっと、その差は明確に表れるでしょう。
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