7 スリランカでは、宗教と暮らし、自 然観と医療、食事と回復が分断され ず、一つの大きな世界観の中でつな がっています。アーユルヴェーダに おける「食」は、その象徴の一つです。 アーユルヴェーダにおいて、食事は 単なる栄養補給ではありません。何 を食べるか、どのように調理するか、 いつ食べるか。そのすべてが身体の 状態に影響すると考えられています。 体質やその日のコンディション、季節 や消化力までを見ながら食事を整え ていくという発想は、食を治療と切り 離さない視点そのものです。 Karunakarala Ayurveda ResortのHead of Ayurvedaを務 めるKamal Perera教授は、こう語 ります。「多くの場合、不調の大半 は、その人に合った食事によって 改善へと向かい ます。それでもな お整わない、長 年の蓄積による 深い乱れに対し てこそ、ハーバ ルメディスンや 薬用オイルを用 いたトリートメン トが必要になり ます。」この言葉 は、アーユルヴ ェーダの本質を よく表しています。まず食を整える こと。それは、身体が本来持つ回 復力を信じるということでもありま す。そして、そこでは医療は決して 特別な行為だけを指しません。毎 日の食卓こそが、すでに治療の一 部なのです。 この感覚は、中国料理の医食同 源の思想とも深く響き合います。美 味しさを追求しながら、同時に身体 への働きにも目を向ける。味覚と養 生が対立するのではなく、むしろ一 体として考えられている点において、 両者はとても近い位置にあります。 だからこそ、「銀座 飛雁閣」という 場でスリランカとアーユルヴェーダ を語ることには、単なる異文化紹 介以上の意味があるのでしょう。 交わりの島・スリランカで育まれ てきたのは、多様なものを受け入れ、 つなぎ、暮らしの中 で深めていく知恵で した。食もまた、その 知恵の一部です。そ してその知恵は、い まの私たちの生活に も、十分に生かせる ものなのだと思いま す。アーユルヴェー ダがこの島に残り続 けてきたのは、特別 なものとして守られ てきたからではなく、 日々の暮らしの中で、 自然や人との関係を 整える実践として生 き続けてきたからに 違いありません。 交わりの島に息づく、食と思想の知恵 伝統的な方法でオイルを準備 心身を整える体質別のアーユルヴェーダ食 コロンボ大学アーユルヴェーダ学部 創設学部長カマル教授
RkJQdWJsaXNoZXIy MjI5MDYwNA==